弓道は、人生そのものに喩えられます。
誰しもが、最初は技術を磨き、上達することを目指します。
しかし、上達するにつれて、技術を学ぶだけではなく、 自己の人格を磨くことが必要だと 気づくようになるのです。
このような気づきは、弓道だけではなく、 人生のあらゆる局面で起こることではないでしょうか。
心と技を一体とし、内面の価値を高め、 人生を深く豊かなものにするために、
弓道は高い指標「真・善・美」を掲げています。

「真」の弓は偽らない

弓道には正射必中という言葉があります。
これは正しい射法で射られた矢は、必ず中るという意味です。
そして、私たちは、的に中てるために、正しい射法を目指して日々練習するのです。
弓を射るということは、正しい射法を目指す、「真」の探求です。
そして、的は、私たちに、自分の今行った射が正しいものであるかを教えてくれる素晴らしい先生なのです。
一射ごとに「真」を求める姿勢、それこそが弓道です。

「善」は、平常心に宿る

弓は、争う、相手を憎む、という考え方とはまったく反対の世界です。
弓の世界に敵はいません。いるとしたら、揺らぎ、動揺する自分の心が、敵なのです。
自分と向かい合い、心を養い、常に平常心でいられる心を作ることこそが弓道の本来の目的なのです。
また、弓道場では、お互いに親しみ、礼節を重んじることを大切にしています。
このようなことを大切にすることで、私たちはいま現代人に必要としている本当の教養を養うことができると考えています。
「礼節」を大切にし、「相手を慈しむ」ことこそ、弓道の基本精神なのです。

「美」は、「真」と「善」の結晶

弓の世界で、「美」は「真」の形と「善」の心が一体となった時に現われると言われています。
正しい構え、正しい動作、それに内面の人格的向上が一体となったとき、 理想的な美しい弓が表現されるのです。
完成された美しい形を目指して努力する姿こそ、日本の弓特有の美しさの世界なのです。

全日本弓道連盟サイトより